初めての方へ

私が「空気」を仕事にするまで

yuko.minetoma

憧れを、仕事へと育てる

銀行員として働いていた頃、
私は美意識とは遠い場所にいました。

それでも心の奥には、
「やってみたい」という静かな憧れがありました。

やがて私は、
モデルの世界へと足を踏み入れます。

そこには、
身体の動き一つで印象が変わる世界がありました。

歩き方、振る舞い、姿勢、身体の使い方。

身体表現が印象を変え、
存在の輝きを生み出す世界でした。

私は背も高くなく、
手や脚の形にもコンプレックスがありました。

しかし、身体の動かし方を変えることで
印象は大きく変わることを知ります。

欠点を隠すのではなく、
動きによって魅力を引き出すことができる。

この経験は、
私の人生の核となる学びとなりました。

モデルとして活動する中で、
人の微細な動きを観察する力、
360度から見られる意識、
印象がどのように生まれるのかを学びました。

同時に、プロとしての自覚、
時間とお金の厳しさ、
誠実に仕事へ向き合う姿勢の大切さも知りました。

できなくても最善を尽くすこと。

不満を語るのではなく、
今の自分を出し切ること。

その姿勢が、次の仕事へとつながっていくことを
私はこの時代に学びました。

小さなスクールの誕生

37歳のとき、離婚を機に
幼い子どもたちを抱えながら働く決意をしました。

「自分にしかできない仕事をつくりたい」

そう決め、
これまでの人生で本当にやりたかったことを
見つめ直しました。

モデルやブライダルショー、
広告撮影の現場で培った
美しさの本質。

外見だけではなく、
心理学、マナー、話し方など、
人の内面と外面を調和させる学び。

それらを統合したスクールをつくろうと思ったのです。

グランドハイアット福岡で小さなスクールを開校

しかし、形にするためのツールも経験も
何もありませんでした。

銀行時代のつながりを頼りホテルに交渉し、
広告代理店の友人にチラシ制作を相談し、
広告の出し方を学びました。

困っていると、誰かが助けてくれましたが、
責任は自分が担うのです。
その時には
人前で話したこともありませんでした。

体験会に人が来ても申し込みがない。

試行錯誤の日々が続きました。

最後に、私は祈りました。

「この仕事を私がしてもよいのなら、
どうか道を開いてください。」

力が抜けたその後の体験会で、
8名の方が申込書を書いてくださり、
第1期アルレスカが誕生しました。

半年後の修了パーティーの日、
一人の生徒さんが私の手を握り言いました。

「こんなに意識が変わるなんて思っていませんでした。」

その言葉が、私の原動力となりました。

空間と人がつくる空気

8年間、同じホテルの空間の中で、
多くの女性たちと時間を重ねました。

数名の生徒さんが同じホテルで結婚式を挙げ、
ブライダルレッスンを担当したこともあります。

スクールを始めて3年後、
少しずつ軌道に乗り始めた頃でした。

大手企業から研修依頼が届き、
企業研修・行政講演へと活動が広がりました。

そこで気づいたのは、
マナーは形だけでは
定着しないということでした。

私は振る舞いを伝えながら、
「あなた自身が輝くこと」
を大切に伝えました。

忘れられない
あるレストランの店長から聞いた言葉があります。
「人材が輝くことが、その企業が輝くこと。」

マナーとは思いやりが形になったものです。

形よりも、思いやりが優先されるべきもの。

人の優しさや思いやりこそが、
空間の心地よさを生み出します。

その確信を得たのは、
観光施設を視察したときでした。

同じ価格帯の施設でも、
そこで働く人の言葉と空気は
まったく違っていました。

その場にいる人の想いが、
空間のエネルギーとなる。

私はその事実を、はっきりと感じたのです。

東京、そしてパリへ

福岡から東京へ拠点を移すことは、
人生の大きな挑戦でした。

東京ではウォーキングやマナー講座、
講師育成を行いながら基盤を築いていきました。

そして転機が訪れます。

パリでの撮影企画への参加。

街の構造、空間の美しさ、光と影、曲線の美学。

長年魅了されてきた美意識の原点が、
そこにありました。

パリに身を置き、空気を感じ、
人々の振る舞いを観察する中で、
日本との違いとフランスの意識を学び、
融合することで
洗練された国際感覚が生まれていきました。

生活様式から生まれる身体の使い方の違い。

ヨーロッパの歩き方の軽やかさと安定感。

それらは健康的であり、
現代の日本人にとっても重要な要素でした。

フランスで出会った人々の
思いやりと適切な距離感、
互いを尊重する姿勢、
自分を守る境界線の明確さ。

文化の違いの中に、
本質的な人間関係の在り方を学びました。

パリという街は
世界のブランドです。

トレンドを生み出してきた都市であり、
女性たちの生き方が美意識の指標となる街です。

そして今

これまでの人生で得たすべての経験を融合し、
私は今、空間の空気を整える仕事をしています。

人の在り方、振る舞い、距離感、思いやり。

それらが調和したとき、
空間は静かな心地よさを生み出します。

美しさとは外見だけではなく、
存在の在り方そのもの。

その空気は、人の心に静かに届き、
記憶に残る余韻となります。

物から事へと価値が移り変わるこの時代に、
目に見えない空気の心地よさこそが、
人の心に残る体験をつくると感じています。

空気の大切さを感じている方へ、
静かにこの思いを届くことを願っています。

— Yuko Nakahara 
Alresuka 


初めてサイトをご覧になるかたへ、
こちらにご案内をまとめています

はじめての方へ

実際に身を置き感じた、
パリの美意識についての記事

パリの呼吸を、空間に。ラグジュアリー空間の美意識について

記事URLをコピーしました