洋食の食べ方「ナイフフォークを美しく使う」
yuko.minetoma
Alresuka
「品がある人ですね」
そう言われる人は、
特別なことをしているようには見えません。
声を張るわけでもなく、
自分を大きく見せるわけでもなく、
正しさを証明しようともしない。
けれど、その場の空気が
ふと、静かに整う。
品とは、
何かを足して生まれるものではありません。
知識を増やしたり、
言葉を磨いたり、
マナーを覚えたり——
それらは確かに大切です。
けれど、
それだけでは「品」にはならない。
品は、
削ったあとに残るもの。
不安から出る言葉を削り、
比較から生まれる態度を削り、
「わかってほしい」という焦りを削る。
そうして最後に残る、
無理のない在り方。
自分にも、他人にも、
乱暴にならない強さ。
それが、品です。
ときどき、
美しく振る舞っている“つもり”なのに、
小さな棘のある言葉を
無意識に使ってしまうことがあります。
愛はある。
マナーも身についている。
それでも、どこかで人との距離が生まれる。
その多くは、
ほんの小さな自己否定や、
気づかれなかった寂しさから
生まれています。
ほんの少しのズレ。
けれどそのズレが積み重なると、
人間関係や人生の方向は、
思わぬ方へと流れていきます。
エレガンスとは、
完璧になることではありません。
そうした小さなズレに気づき、
静かに修正していく力。
姿勢を整えるように、
言葉の角度を整え、
心の向きを整える。
それができる人の佇まいには、
説明のいらない品が宿ります。
品は、
誰かに評価されるためのものではなく、
自分が自分であるための、
静かな支え。
もし今、
「もっと美しく在りたい」というよりも、
「もう、無理をしたくない」
そんな感覚があるなら——
それは、
品が育ち始めているサインかもしれません。
エレガンスとは、
生き方の中で、
静かに整っていくもの。