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パリ企画

日本・香港・パリの融合: それぞれの場所で感じた「一流」の在り方

yuko.minetoma

憧れのペニンシュラ香港

香港のラグジュアリーホテルは、
英国式の伝統にアジアの細やかなホスピタリティが融合した、
世界でも類を見ない「究極のサービスの聖地」です。

その中でもペニンシュラホテルは、
私の大好きな女流作家の小説にも登場する、
長年憧れ続けていたホテルでした。

そこでの体験は、
私の振る舞いの基準値を静かに引き上げ、
エレガンスという世界への扉を開くきっかけとなりました。

小説にも描かれていたアフタヌーンティへ向かうため、
幼い娘を連れてホテルのラウンジへ向かったときのことです。

案内してくださるスタッフの方は、
テーブルの間を縫うように、
まるで空間を読むかのような滑らかな動きで私たちを導いてくださいました。

お茶を運ぶ所作も、腕だけではなく腰から自然に動く、
無駄のない美しい振る舞いでした。

「丁寧さ」とは、音を立てず、主張もせず、
場の空気そのものを整えることなのだと、
その姿から教えられた気がしました。

その後、ツアーの待ち合わせのため日系のホテルへ向かう際、
タクシーに乗ったときのことです。

ドアマンは、
小さな娘を連れた私の姿を見ると、
静かにタクシーのドアを開け、
ナンバープレートを控えたメモを手渡してくださいました。

「何かあったら、すぐにご連絡ください」
その一言と行動には、過剰でもなく、説明的でもない、
しかし確かな「安全と安心」がありました。

守られているという感覚は、
言葉ではなく、
このようなさりげない所作から生まれるのだと、
そのとき深く心に残りました。

世界には、人の尊厳と安全を、
静かに、しかし確実に支える
一流のサービスが存在する。

その事実を、
私はこの体験を通して身体で知ったのです。

見えない空気へのこだわり

観光協会の仕事を受け、
佐賀県の古い温泉地区にあるホテルや旅館、
約20軒を2日間で視察したことがあります。

それぞれに特徴のある施設を回り、
問題点や改善策について話を伺っていましたが、
ある老舗ホテルに入った瞬間、私は微かな違和感を覚えました。

立派な建物です。

しかし、自動ドアが開いた瞬間、白いモヤのようなものを感じたのです。

最初はタバコの煙かと思いました。
けれど、タバコの匂いはしません。

後に聞いたその施設の悩みは、
「パートが辞めてしまって困っている」というものでした。

お茶を出してくださった受付の女性の、
乱れた髪の毛と赤い口紅。

上司の顔色をうかがうような、
どこか媚びた視線。

それらが、先ほど感じた白いモヤと重なって見えました。

その施設の向かいに、
同じような規模の温泉施設がありました。

そこに足を踏み入れた瞬間、
空気がまったく違うことに、はっきりと気づいたのです。

澄み切っていて、
琴線がやわらかく張るような、心地よい空気。

館内には多くの装飾がありましたが、
隅々まで掃除が行き届き、どれも美しく光っていました。

そして女将さんが、こうおっしゃいました。

「うちの大切な仲居さんたちがね……」

その一言を聞いたとき、私は確信しました。

施設に流れる空気は、
そこにいる人たちの気持ちそのものなのだと。

人の心が空気に変わり、
言葉にならない違いとして、
訪れる人の感覚に伝わっていく。

多くの人が「なんとなく居心地がいい」
「なんとなく落ち着かない」と感じる、その正体です。

見えない空気。
見えない間。

それは、施設の中にいる人の気持ちがつくっています。

ここを整えることこそ、企業が本当に向き合うべき、
最も重要な企業努力なのではないでしょうか。


パリで感じたエレガンス

私にとってParisは、
美しい所作や洗練された振る舞いを「学ぶ場所」ではありません。

人と人との距離感、
言葉にしない配慮、
空間に流れる静かな緊張感と余白。

それらが特別な説明もなく、
日常の中に当たり前のように存在している街です。

一流ホテルのアテンド、
ギャルソンの立ち居振る舞い、
百貨店や街全体に漂う空気。

日常のメトロやバスの中の人々の振る舞い
街中のカフェやパン屋にまで
思いやりと相手を尊重する
フランス人が持つ本質のマナーを見ることができます。

そこには、
誰かに評価されるための振る舞いではなく、
自分の役割と場を理解した上での、自然な在り方があります。

Parisで感じたエレガンスとは、
装いや形式ではなく、
人の内側からにじみ出る「整った在り方」でした。

この「在り方」は
パリの人々が持つ自意識と自己への確信、
そして相手への尊重のよって支えられています。

それは大人だけではなく
小さな子供たちにも自然に根付いているものでした。

パリのアールヌーボー

日本とパリを結ぶ

これまで日本で、
企業研修やホスピタリティの現場に携わる中で、
私は常に「見えない空気」や「間」に注目してきました。

人の気持ちが空気をつくり、
その空気が、組織や空間の印象を決定づけていく。

その感覚は、
Parisで日常的に目にする在り方と深く共鳴していました。

日本の繊細さと、
Parisの揺るぎない美意識。

その両方を体感してきたからこそ、
私は現在、
東京とパリの拠点に拠点を構え
二つの都市を行き来しながら
活動しています。

日本の繊細な感性と、
Parisに息づく揺るぎない美意識。

世界の流れを現場で感じ取り、
それを日本の企業や組織に還元する形で、
感性と在り方を扱う研修を行っています。

この流れの先にあるのが、
Parisという場に身を置き、
意思決定者自身の感性と視座を更新していく
Executive Paris Immersion です。

だから、研修という形にしました

私が行っているのは、
知識やノウハウを教えるための研修ではありません。

これまで、
日本の現場で感じてきた「見えない空気」の違い。

Parisで体感してきた「在り方としてのエレガンス」。

それらに共通していたのは、
人の振る舞いや判断の質は、
外側のスキルではなく、
内側の整い方によって決まるということでした。

だから私は、
講義や理論ではなく、
実際にその場に身を置き、
空気を感じ、
自分自身の感性に気づいていく
「研修」という形を選びました。

Parisという街は、
美意識や距離感、
人と人との関係性が、
日常の中で自然に息づいています。

その場に身を置くことで、
多くを説明しなくても、
意思決定の質や在り方が
静かに、しかし確実に変わっていきます。

行動を変える前に、
在り方を整える。

そのための時間として、
私はこの研修を設計しています。

私の美意識の構築場所

Parisでは、
街の空気や人の暮らしを日常として感じ取れる場所を拠点に、
制作や思考の時間を重ねています。

最先端のトレンドが集まるマレ地区は、
いつか仕事の成熟とともに迎えたい場所。

今は、華やかさを見せるためではなく、
人との距離感や街のリズム、
何気ない所作や佇まいを観察しながら、
研修の思想を静かに育てる時間を大切にしています。。

こうした体験と感性の積み重ねをもとに、
グローバルリーダーのための視察・研修
プログラムを行なっています

グローバルリーダーのためのパリ視察研修をみる

ABOUT ME
Yuko
日本とパリを行き来しながら、 所作・言葉・心の在り方を通して、 「見えない空気を美しく整える」エレガンスを伝えています。 マナーを型として教えるのではなく、 美意識を内側に育てることで、 その人や組織が大切にしている価値が 自然にふるまいとして表れる状態を大切にしています。 日常の所作、歩き方、コミュニケーション。 すべては、人生そのもののエレガンスへとつながっています。
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